水窪の町の入口に、古くから祀られている庚申様・・・
その昔、庚申(こうしん)信仰として、村で亡くなった遊魂・悪霊を静めるため
人々の多く集る巷の道辻であるとか、三叉路に庚申様を祭り
家内安全・無病息災・作物豊穣の願いをこめました
この祠の壁面に、美しい鏝絵(こてえ)が施されていますが
これは、大正から昭和期に活躍した平出宇蔵という人の作品で
水窪町の文化財にも指定されています

解説によると、、、
鏝絵(こてえ)とは、日本で発展した漆喰を用いて作られるレリーフのことで
左官職人が鏝で仕上げていくことから名がついたようです
題材は福を招く物語、花鳥風月が中心であり
着色された漆喰を用いて極彩色で表現されており
これは財を成した豪商や網元が母屋や土蔵を改築する際
富の象徴として外壁の装飾に盛んに用いられたからだそうです

古くは高松古墳、法隆寺の金堂の壁画にあり歴史は古く
また天平年間の立体塑にも見られます
戦後、在来工法の衰退と共に腕利きの左官職人が減少
一時は幻の技巧となったが、近年、建築の分野で再評価が進んでいるとのこと

平出宇蔵氏の作品は、昭和初期まで東京駅(副駅長室)にもあったようですが
その後、内装工事が施され今はもう見ることができないそうです