ここ北遠の田舎では、正月に男木(おとこぎ)と呼ばれる柱を家の前に立て
しめ縄をはり、門松の代わりする慣わしがあります

(写真は、道の駅・国盗りさん昨年の様子 ※一般的には左右二本の男木のみですが)
これは、現代の門松とは違い、ごくシンプルなスタイルです
本来は、栗や楢(なら)の木を使う地域もあるようですが
今はこの時期、それぞれの家で、山から杉の木を切り出し皮をむき
これから迎える正月の支度をします
今では、見かけることも珍しくなりましたが
一部の集落では昔ながらに伝えられ飾られます

この風習は、民族学者・折口信夫の著書「門松のはなし」に一説があります
「折口信夫全集 第十七巻」中央公論社 1956(昭和31)年9月初版発行
私は、此数年間、毎年正月になると、三河・遠江・信濃の国境に近い奥山家へ
初春の行事を採訪に出かけましたが、こゝの門松は、また形が違つてゐるのです
門神柱、或は男木などゝと言はれる、栗・楢などの柱が二本立てられ
これに注連をはり、その下に松が立てられるので
その松の枝には、やすと言ふ、藁で作つた、つとを半分にした様なものが掛けられ
その中には、餅・シトギなどが入れられるんです
此形は、盆の聖霊棚に非常に近いと思はれます