★チョッとした山村農業の話★

水窪

2010年01月09日 08:56

   今年は、時々“チョッとした山村農業の話”をしてみたいと思います

   山村では、よく草刈場(くさかりば)と言って、、、(選挙の争いではありません)

   茶畑などの堆肥用として使う茅(かや)<ススキの別名>などを

   採取(草刈り)するために、村や地域民が共有した場所をつくってきました



   一見すると、ただの雑草地に見えるのですが

   これは、わざわざ茅(かや)の根をわけ、年月かけて増やしていったものなのです

   通常刈り採ったものは、茅(かや)葺き屋根のように、よく乾燥してから使うのですが

   山村農地では、平地で使用する敷き藁(わら)としての保水やマルチ対策というより

   化成肥料が十分でなかった昔、堆肥(肥料)としての役割が大きかったようです


   ですから青草有機栽培と言って、夏場は刈り取った青い茅をすきこみました

   こうして、じかに有機アミノ酸成分が分解することで、旨み成分を作り出し

   また、植物有機質の堆肥は、微生物菌を育て有効な肥料になったのです

   但し、化成肥料に比較してその栄養分の含有量はごくわずかなため

   大量の青草を必要とし、土作りだけでも20年はかかるといわれました

   今でも山村のお茶農家が、夏場の草刈りに精をだす理由はここにあります

   ※ 動物性の有機物は完熟しないと、毒となる多量の硝酸態窒素をうみます



   水窪でこの有機青草農法を40年以上も実施した人がいました

   大野地区でお茶作りに取り組んだ藤永さんという人です(もう亡くなられましたが)

   私も若い頃、勉強によく畑を見せてもらいにいったりしました

   とにかくお茶や野菜作りのこだわりはすごかった、、、

   生前、正月の挨拶に伺った時(たしか3日か4日だったかな?)にも

   まだ、雪のある畑で奥さんと、寝かし(保存)てあった堆肥を畑に入れていました

   数十年の土作りの実績、畝は羽毛のじゅうたんのようにフワフワ


   その時、今でも記憶に残る一言を、、、

   「お前な、365日畑に出んかったら、うまいものは絶対に出来んぞ!」

   今では、あんな強烈な香りのお茶に出会う事はまずありません

   ここ水窪で唯一、本当の山岳茶(やまちゃ)だったのかもしれませんね

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