先だっての、農薬についてのお話の続きですが・・・
私が、これまでの慣行栽培から、無農薬栽培へと方向を転換したのは
今から15年ほど前でした(当時の新茶注文のパンフレットが残っていますが)
きっかけは、以前紹介した地元でいち早く有機栽培に取り組んでいた
篤農家の藤永さんに出会ってからのことでした
もうその頃は、様々な弊害を起こす農薬使用に疑問を持っていましたし
大量の窒素施肥が、茶の木をいためていることも理解していました
ただ、栽培法の転換は、農家にとっておおきなリスクを背負います
当然のことながら、どの農家も当時はためらっていましたね
そして、とりあえず病害虫がでても、思い切って農薬散布の作業をやめてみました
案の定、夏前の二番茶は全滅、、、全く収入なしの年になりました
藤永さんは、「ダメだよ!土も木も出来てないうちに、ただ止めたってさ」
消毒の作業がない事は、農家にとって本当に楽なことです
しかし、手をぬくことと、自然栽培にうつる事は全く違う
雑草や病害虫は、とてつもなく厄介な敵となる
「まずは、青草の堆肥をつくって、とにかく畝に鋤きこんでみな!」
昔ながらの茅(かや)を茶畑の横に植えて増やし、鋤き込みながら
教えてもらった茶の木の仕立て方法を何度か試してみる
藤永さんや先輩農家は、仕立て方や時期で病気を回避できると言った
でも、いつ、どの高さで仕立てるかは、勘と経験のみだから聞いてもわからない
それに、どうしても無農薬は単位面積当たりの収量が落ちるから
効率のよい収穫が出来る仕立ての形状に変える必要もある
土作りや、そんなことのくり返しをしながら数年間、、、
やっと農薬に頼らなくてもよい、健康なお茶が出来上がった
今では仕立てのタイミングや技術は、当たり前のことになり難しくはないが
その当時は、試行錯誤のくり返しだった
よく茶の木や農作物に聞けば、今どうして欲しいのか?
お茶や野菜が教えてくれるよ、、と言います
あれ、まんざら嘘でもなくて、いつも見ているとなんとなくわかるんですね
不思議なものです、、、だから絶対、人間の都合で無理しちゃダメなんです
それでも、昨年の新茶のように数十年に一度の霜害で
全く収穫が出来ないこともあります
自然の営みの中では、良くも悪くも、全部ひっくるめてお付き合いなのですから